【書評】「たかし言質論第3集 北朝鮮はなぜ、核保有宣言をしたのか」書評『自衛のための核保有』

日朝関係を語る上で、欠かせない核問題。本書では、朝鮮が核兵器を持つに至った経緯、またそうせざるを得なかった理由について考察されている。

現在、日本など米国に追従する国々では、朝鮮は「悪の国」であると決めつけ、朝鮮が経済制裁に対抗する目的で少しでも軍事的行動を起こしたならば(実際には人工衛星の打ち上げであっても)、国際社会への挑発とみなして朝鮮を孤立化させようとしている。

本書を読めば世間の主張が誤ったものであると気づくことができるだろう。

まず初めに、本書ではとあるエピソードが紹介されている。それは、戦前、日本が朝鮮を植民地にし、「日本人化」政策の一環で、日本語の使用を推進していた時の話である。

日本語を上手く話せない朝鮮人たちを不憫に思った日本人の女性たちが、ボランティアで日本語を教えていたという。

一見、善人に見える女性たちであるが、知らず知らずのうちに朝鮮の植民地化政策に加担していたことが感じ取れる。

こうした現象は、現代においても当てはまると考える。ニュースや新聞などの報道では、米国の朝鮮敵視政策を正義とみなし、善人のフリをして朝鮮の核保有を批判する場面を度々目にする。

そうした人たちは、朝鮮批判について悪びれる様子は微塵にも見せず、自分こそが正義だと言わんばかりに気持ちよさそうに話をしている。米国の思惑に乗せられているとも知らずに…。

 本書を通して、朝鮮の核保有が日本を攻撃するためではないこと、各国からの経済制裁及び米国による核攻撃の脅威に対抗するため、自国を守る目的で核を保有していることが理解できると思う。

また朝鮮半島の非核化(南朝鮮からの米国の撤退)に向けて戦う朝鮮から日本が見習わなければならない点が見えてくるのではないかと思う。

(文:愛媛現代朝鮮問題研究所)